MONOEYE
FEATURE 002

今年3月に待望の1stアルバム『atocata utacata』をリリースし、タワー・レコード渋谷店のJ-JAZZ週間チャートでいきなり第2位を獲得してしまった新潟発の音響派ジャズ・ロック・バンド、monoeye。曲の核となっているジャズのみならず、ファンクもサイケもプログレもロックも音響系も民族系も垣間見せつつも決してバラツキを感じさせない彼らの音楽性の妙は一聴の価値ありです。experimental room #1にも参戦してくれた彼らのライヴを夢中になって見てたTodd Mattei(Sharks And Seals, Joan Of Arc)は僕に嬉しそうにこう言いました。「彼らの音楽最高だね!何ていうバンドなの?」ってね。





HOMETOWN
Niigata, JP

MEMBER
Hiroyuki Adachi
Katsunari Honma
Junichiro Okumura
Akihisa Tanaka (KEESHKAS SOUNDSERVICE)
Teruhito Fukuda

LABEL
MORI RECORDS (JP)

WEB
MONOEYE
MONOEYE myspace

記念すべき1stアルバム『atocata utacata』の完成おめでとうございます!出来上がってリリースされた今の心境はいかがですか?

Adachi(以下A):ありがとうございます。名刺がばら撒かれたというか(笑)、沢山のお力添えがあってこそのリリースですし、そういった部分も含めて受け取っていただけるというアイテムですからねアルバムは。感謝の気持ちでいっぱいです。ご期待に添えるよう活動を広げて行きます。はい。とはいえ、売れるといいなぁ…というのが今の率直な心境でしょうか、荷物は少ないほうが良いので(笑)。

今作はフリー・ジャズ、ファンク、サイケ、プログレ、ロック、音響、実験音楽など様々な要素を感じさせつつも統制の取れた素晴らしいアルバムですね。どのようにして作り上げられたのでしょうか?

A:お褒めの言葉恐縮です。仰るとおりアルバム全体の「統制」には気をつけました。このアルバムは、大きくふたつの時期に分かれて制作に取り組んだ上に、収録された楽曲は、まあ、バラバラと言えばバラバラもいいとこなので、音の質というか像というか、アルバム全体に浸透する色を揃えることはやはり意識しました。もしも同じノリの10曲だったとしたらたぶん全く逆の作業をしていたと思います。十曲十色みたいな。そういう当たり前のことを今回はできる限り丁寧にやってみました、売り物になるわけですから!

初期のmonoeyeは四つ打ちドラムを多用したもっとダンス寄りの音楽だったと思います。ここ数年のライヴや今作ではもっと自由でジャム・セッション的な即興音楽、フリー・フォームなスタイルにシフトされたと思うのですが、どのようにしてサウンドは変化していったのでしょうか?

A:初期のアプローチのほうが新しかったというか、あれは当時の流行でしたから(笑)、今のほうが古いですよね。昔ながらというか。どっちも普通に持っているので変化という意識はありません。フロアが戸惑っているのは常に感じていますが。そういうバンドだと認識していただけるとありがたいです。ちなみに現在のmonoeyeは再びダンス衝動の火が点きつつあります。

今作に何かコンセプトはありましたか?

A:最高のジャケットデザインがそこを受け持ってくれたと思っています。それと古泉先生の書き下ろしマンガ。あれで決まりでしょう(笑)!

ジャズ界の巨匠とも言うべきMiles Davisのカヴァーが収録されていますが、あなたがたにとってのMiles Davisはズバリ何ですか?

A:ズバリとはなかなか答えられないのですが、男が憧れる男性像のある種の象徴みたいな人ではないでしょうか、勝新太郎みたいな。憧れの方向が偏ってますが(笑)。女性から見るとどうなのでしょうか?女性の口から「マイルス」、「勝新」というキーワードがこぼれることはあまり無いような気がするのですが。というか「勝」と発声する女性は中村玉緒以外にイメージできませーん。

このアルバムにDCPRGや東京ザビヌルバッハで知られる坪口昌恭氏のコメントが寄せられていますが、彼の音楽についてはいかがですか?

A:斬新なアイデアや複雑な手法の中にあっても心地好さには背を向けない、スマートでアカデミックで、高校すら出たのか出てないのかわからないような僕には憧れを通り越して嫉妬でギリギリするしかない、かっこいいJAZZです。力加減というか、バランス感覚がとにかく良い方だと思います。

アルバム・タイトル"atocata utacata"はどのような意味なのですか?

A:曲名を繋げただけ。すみません。語呂というか、ヴィジュアルが良いかなと。変ですか(笑)?

「anoyo」や「満月祭」などの野外レイヴ・パーティーへの参加もされているとのことですが、こういったイベントでのプレイはいかがですか?

A:楽しいに決まってます。ただしmonoeyeは雨が多い!

2006年9月にシカゴのバンド、Sharks And Sealsと共演しましたね。音楽的なジャンルで言えば全く違うと思うのですが、彼らとのショウはいかがでしたか?

A:やっぱ血は感じました。言語というか。そういった部分で物凄くわくわくしました。バランスだとか、音のまとめ方ひとつにしてもそうですが、楽曲そのものがもう、「なんでそこをそんなにひっぱれるんだ!?」みたいな(笑)。「なんでそれで終われるんだお前らは!!」「平気なのか!?」って。わかり合えない部分が面白かった。「すげー。外人だー。わっかんねぇー。」ていう(笑)。音楽に国境は無いのかもしれないけれど、人間のやることだからルーツは当然あって、Sharks And Sealsのような音楽の場合は特にそれが色濃く滲み出るのかもしれないですね。聴いていて、思い浮かぶ固有名詞が人名ではなく国名だったりという。そんなことよりも、次回はちゃんと空調のしっかりした涼しい会場でご一緒したいですね(苦笑)!

地元新潟での音楽シーンはいかがですか?

A:新潟に限らず、リスナーが会場離れしているのは間違いないと思います。ただ、問題山積みではありますが、閃きとパワーのある人にとってはチャンスだと思います。

ちなみにですがどのような意味を込めてバンド名を選んだのでしょうか?

A:「ちなみに」では無いでしょ?それ(笑)。語源はみなさんご存知の通りアレのアレです。なので意味は込めてませんし、「これでよかったのか?」と今でもときどき自問します。突如改名とかしても笑ってやってくださいね。

今後の活動予定を教えてください。

A:5/18(金)に新潟CLUB JUNK BOX(WE VS. DEATH 1st album release japan tour)。6/23(土)に都内にて京都のエレクトロニカ・レーベル「imagined records」のアーティストを中心としたイベントに唯一の生音バンドとしてお呼びいただいてます。詳細は後日発表させて頂きます。

それでは最後に何か一言どうぞ!

A:みなさま、monoeyeの1stフル・アルバム『atocata utacata』をよろしくお願いいたします。そして是非会場へお越しいただきたいと思います。踊り狂いましょうね。それから、バンド名はよく考えて決めよう!



INTERVIEW in April 2007
TEXT by Masato Hoshino