MAGDALA
FEATURE 036

夢中夢のハチスノイトとAureole/Kilk Records主宰の森大地からなる新バンド、Magdala(マグダラ)。2012年12月に発表された衝撃のデビュー・アルバム『Magdala』は、エレクトロニクスと弦楽器を掛け合わせた綿密なオーケストレーションと、日常的な声色から美しく聖なる歌声、そしてポエトリー・リーディングと様々な表情で魅せるヴォーカリゼーションとが見事に合わさり、荘厳な音響美と唯一無比の音世界を繰り広げ、私たちの度肝を抜いてあちこちで高い評価を獲得しました。そんな作品を引っ提げて、遂にお二人が間もなく新潟の地を踏む!という事でインタビューを決行!是非ライヴ前の予習としてもお楽しみ下さい!




HOMETOWN
Tokyo, JP

LABEL
KILK (JP)

MEMBER
Hatis Noit (夢中夢)
Daichi Mori (AUREOLE)

WEB
MAGDALA
MAGDALA soundcloud

VIDEO

Debut Album Trailer


記憶のかえるところ / Memories



Niigata Show

urbansole presents
"gold experience"

2013 07 20 SATURDAY

GT.MOO GALLERY

Open 19:00 / Start 19:30

Adv 2000JPY / Door 2500JPY

live:
magdala
juvenille A
urbansole

dj: Jacob (Red Race Riot!)

more info: urbansole
それぞれ別々のバンドで活動されていたお二人ですが、どのようにしてMagdalaは結成されたのでしょうか?

ハチスノイト(以下H):元々あるCDの企画で1曲一緒に制作させてもらったことがあって、その頃他にも一緒に作りませんか?というようなお誘いを受けました。彼が関わっている他の音源もみんな好きだったので、二つ返事でOKしました。

結成にあたり、このバンドでの何かコンセプトや方向性というものは位置づけていたのでしょうか?

森大地(以下M):「メンバーである二人が最も好きな音楽をやる」というのが最初のルールでした。それからお互いでどういう音楽をやりたいのかを擦り合わせながら、「とにかく誰にも似ていない、独創的な音楽を作る」ということをテーマにして作っていきました。

ちなみにどのような思いを込めて"Magdala"と名付けられたのでしょうか?

H:Magdalaというのはキリスト教の聖人「マグダラのマリア」から名付けました。彼女は娼婦で、罪人として裁かれていたところをキリストに助けられ、後に聖人になります。一説にはキリストの妻だったのではないか、という風にも言われていて、そんな姿が人間の双極性やそれに対する本質的な許しを表しているようで、この名前を付けました。キリストは彼女を助けるとき、彼女を裁く人々に「君たちの中で、罪を犯したことのない者はいるか?」という問いを残していますが、人間の弱さを裁くよりも、そのポジティブもネガティブもすべてを受け入れて許していく姿に、まるで音楽のあり方と同じような自由さと優しさを感じています。

去年12月にリリースされたデビュー・アルバム『Magdala』は、エレクトロニクスと生楽器による壮大な音響美と、多才な彩りを魅せる歌声とが見事に掛け合わさった素晴らしい作品ですね!今作はどのようにして制作されていったのでしょうか?

H:ありがとうございます。基本的に、どの曲も2人で作っています。基本のトラックを大地君が作り、その上に私が歌を自由に入れて、大地君がその歌をエディットしつつ、さらに2人で意見を出しながらトラックを仕上げていく、という流れです。どの曲も基本の80%位までは4日4〜5時間位で一気に作りました。このやり方がすごく良くて、作曲自体は2ヶ月くらいですべての曲を作ったので、とてもスピーディーに制作が進んだように思います。

制作にあたりそれぞれの役割分担のようなものはあったのでしょうか?

M:歌詞は完全にハチスノイトが作っています。他の部分は基本的に歌メロはハチスノイト、編曲は僕という形ですが、その両方ともそれぞれに意見を交換しあいながら作りました。例えばある曲ではまず僕がピアノのフレーズを作り、そこにハチスノイトが歌を乗せる。それに合わせてまた僕が弦楽器を加え、Bメロも作っていく。そのアレンジを聞いてまた歌メロを最初から作り直し、それならとピアノは全て消し、変わりにビートを加えてみる。そこから一度、二人で冷静に聴き直し、Bメロ以降の展開についてのアイディアを出し合うといったかんじです。

アートワークも楽曲の世界観を見事に具象化されたものと感じたのですが、こちらはどのようにして制作されたのでしょうか?

H:アルバムの写真は大阪の写真家「石川文子」さん、デザインは「raku-gaki」さん、またMVは大阪の維新派という劇団の美術を担当されている方達からなる「木鳥works」さんにお願いしました。みなさん古くからお世話になっている本当に大好きなクリエイターさんで、はじめからこの世界観ならこの人たちしかいない!と思い依頼しました。石川文子さんは、その場面の湿度や温度までそのまま写真に焼き込んでしまうような美しく幻想的な写真を撮られる素晴らしい写真家さんです。まだ私が10代の頃からお世話になっているかな?このジャケットは発売後もいろんなところで評価していただけるので、本当にお願い出来て良かったな、と思います。raku-gakiさんは個人的にも仲良くお世話になっている素晴らしいクリエイターさんです。彼が携わるどの作品も、とても緻密なコンセプトと美意識で出来上がっていて、個人的にも大ファンです。今回はこのような形で関わっていただけて光栄です。木鳥worksさんも本当に古い仲で、これまでも彼らが制作した映像作品に私が出演させていただいたりと、今回も映像を作るならこの方々、とはじめから決めていました。赤い教会のようなシーンはセットも完全に1から全て手作りで作り上げられていて、ディテールまで本当に美しく、その場にいても圧巻でした。真夏の野外ロケも本当に楽しく懐かしい思い出です。

アルバム1枚の中に様々な音楽的ジャンルを背景に感じるのですが、普段どのような音楽を聴いていらっしゃいますか?最近のお気に入りのアーティストや作品がありましたら教えて下さい。

M:Magdalaのアルバムはミニマル、現代音楽、アシッドフォーク、クラシック、エレクトロニカ、ECM系ジャズ、4AD系あたりがベースになっていると思います。最近のお気に入りではAndy Stott、Haxan Cloak、:PAPERCUTZあたりです。

今回、初となる新潟ライヴが決定しておりますが、今のお気持ちはいかがですか?

H:Magdalaは地方公演も多く、毎回とても楽しく全国を回っているのですが、今回初めて新潟に伺えるということで、本当に楽しみです。

新潟といえばどのようなイメージがありますか?

H:お米→お酒がおいしい、海産物もおいしそう(笑)。個人的に新潟出身の友達も多く、みんな独自の強い美意識・価値観がある方が多いなと感じます。そんなところが大好きです。東京に出てくる人の割合が日本一高いと聞いたことがあるのですが、もしかしたらそんな発展的な価値観が現れているのかもしれませんね。
M:うん。新潟には良い印象以外、何もありません(笑)。

今後のMagdalaとそれぞれの予定がありましたら教えて下さい。

H:今後も東京、地方でもコンスタントにライヴが続きます。この夏は寺社での公演も予定しており、元々野外やギャラリー、カフェなどライヴ・ハウス以外での公演も多いので、フットワークの軽さを生かしていろんな場に行ければなと思います。近いうちに2ndアルバムも制作したいと思っています。

それでは最後に新潟でMagdalaを待っているリスナーに一言お願いします!

M:新潟での反応がどんな感じなのかとても楽しみです。よろしくお願いします。
H:初めての地、最高の公演をお届けしたいなと思います。楽しみにいらしてください。 また今回お世話になるurbansole(http://urbansole.org/)も唯一無二の素晴らしいアーティストであり、レーベル・メイトです。素晴らしい夜になるよう、全力で一緒に盛り上げていきたいです。



INTERVIEW in July 2013
TEXT by Masato Hoshino