TAISHI KAMIYA
FEATURE 038

札幌出身、東京在住のサウンド・アーティスト、神谷泰史。Ian Hawgoodが主宰するイギリスのインディー・レーベル、Home NormalやNomadic Kids Republicから作品が発表されており、メイン楽器であるソプラノ・サックスとラップトップを通して織り成されるそのドローニッシュで音の先端部にまできめ細かく行き渡らせているアンビエントなサウンド数々は、偶有的でありながらもとにかく溜め息が出てしまうくらい美しいサウンド・スケープを創出して魅せています。そんな彼が間もなく新潟・十日町にある『山ノ家』にやってきます!どのようにして私たちの目の前であのサウンドが構築されていくのか、非常に楽しみでならないところです。




HOMETOWN
Tokyo, JP

LABEL
HOME NORMAL (UK)
NOMADIC KIDS REPUBLIC (UK)
TWISTED TREE LINE (UK)

MEMBER
Taishi Kamiya (NOMI, TOK, KU, +LUS, DTN)

WEB
TAISHI KAMIYA
TAISHI KAMIYA soundcloud

VIDEO

Live at IID


Live at Sakaiki






2013 08 17 SATURDAY

山ノ家

Open 17:00

Adv 2300JPY / Door 2800JPY

live performance:
minamo × バストリオ『100万回』
Taishi Kamiya

more info: 『100万回』特設サイト
まず基本的な事から伺っていきたいと思うのですが、どのようにして現在のような音楽の制作をスタートされたのでしょうか?

現在のように、演奏した楽器の音をリアルタイムにサンプリングして加工するという演奏スタイルは、2004年から始めました。当時は札幌でkuというバンドをやっていて、バンドの中では自作テルミンやサックスの音にサンプラーに付いているエフェクトをかけて演奏していましたが、puredataやmax/mspなどでの音処理に興味を持ちのめり込むうちに、ひとつの音色を様々な音色に自在に変化させられることに気づき、サックスだけでのソロを開始しました。

メイン楽器としてソプラノ・サックスを使用されておりますが、この楽器にフォーカスをあてようと思われたきっかけは何だったのでしょうか?

元々はJazzでアルト・サックスを吹くことが多かったのですが、 ソロ演奏でエフェクトやプロセッシングしたときに音の変化が気持ち良いということと、ソプラノの透明な音や抜ける息音が好きで、ソプラノ・サックスをメインで使用しています。

2012年8月に発表された最新作の『Aroma Trace』ですが、ライヴ音源を元に制作されたとの事ですが、ライヴ音源とは思えないほど綿密でいて洗練されたサウンドを聴く事が出来ます。ライヴではどのようにしてこのような音を構築していっているのでしょうか?

2004年当時からライヴ演奏を録り溜めていたのですが、『Aroma Trace』ではそれらの録音したライヴ音源のうち比較的空気感の良いものを、 音質悪いものも含め加工せずそのまま収録しています。 僕は基本的には作曲をしないのですが、ライヴで即興演奏を重ねる内に、 手癖というか、気に入った音のシーケンスが自然と生まれていくことがあります。 録音した音源を何回か聴いている内に気に入ったものは次の演奏でも使ったりとか。 そういうふうにして演奏がブラッシュ・アップされて、自然とそれが曲のようになっていきます。

その一方で前作にあたりますデビュー・アルバム『Spectra Of Air』では、逆にスタジオ・ワークとして制作されましたね。こちらは『Aroma Trace』とはまた印象が異なりますが、こちらも気が遠くなるほどの美しさに満ち溢れた素晴らしい作品です!こちらの作品はどのようにして制作されていったのでしょうか?

ありがとうございます! 『Spectra of Air』では、上で説明したような演奏を積み重ねて自然と出来た曲のひな形を、整理して録音しなおしました。 普段のライヴでは音の細かいところまではケアできないので、このアルバムでは録音した後にひたすら音を磨き続けて、ライヴ演奏とは違う音像を作ることに気を遣いました。

これらの作品はHome Normal、Nomadic Kids Republicと、どちらもIan Hawgoodによるレーベルからのリリースとなりましたが、改めてこれらのレーベルやIanについてはいかがですか?

Home NormalもNomadic Kids Republicもどちらも素晴らしいレーベルだと思います。 レーベルで取り上げられているアーティストの音楽はどれもただ美しいだけでなく独自の空気感を持っていると思います。その中に加えていただけたのは本当に光栄です。

今回、新潟での初めてのライヴが決定されておりますが、ずばりご自身にとっての新潟の印象についてはいかがでしょうか?

越後妻有アート・トリエンナーレには何度か伺っていて、里山の地域の雰囲気はとても好きです。 僕は北海道出身で、冬の雪原の中にいるときのような人が抗えない圧倒的な自然の大きさみたいなものが好きなのですが、新潟の山間の地域には同様の雰囲気を感じます。そういう場所では、聴こえる音、感じられる感覚が研ぎ澄まされるのでとても好きです。

今回の演奏の会場となる「山ノ家」ですが、リノベーションされる行程から携われていたとお聞きしました。改めてご自身にとって「山ノ家」についてはいかがですか?

山ノ家をやられているgift_labでは、一昨年、サウンド・インスタレーションの展示もさせて頂きましたが、 gift_の後藤さん、池田さんの考えや着目点には非常に共感するところが多く、お手伝いを申し出ました。 地域のつながりと都市部とのつながりを意識されて、非常に良い場所を作られていると思います。

ソロでの活動の他に、Asuka Tanakaさんとのユニット「tok(トゥック)」としても活動されておりますが、最近のこちらの活動についてはいかがですか?

そちらは、全然ですね(笑)。自分史上最もポップな音楽を目指しています。 他には、nomiというバンドや、Emotional Setという名義でビート・セットで演奏することもありますし、 Eriko Toyodaさんやsawakoさんなど他のアーティストとのコラボレーションなどもやっています。

プレイヤーとしての音楽活動の他に、静岡・浜松市での音楽イベントFukugonji Fesを開催されていますね!関東、関西、そして国外からと様々な地域のアーティストが結集され、ロケーションも含めて素晴らしいイベントと評判を聞きます。こちらの活動についてはいかがですか?

2007年から毎年開催していて、今まで国内外から本当にいろんなタイプのアーティストに参加して頂いて、お客様にも出演者にも非常に好評頂いていたのですが、力を入れすぎてバテてしまい現在充電中です。 そう遠くない内にもしかしたら形を少し変えて開催するかもしれません。その時はぜひ遊びに来てください。 本堂での演奏を外の芝生で寝っ転がって聴く、という非常に贅沢な体験ができますよ。

最近のお気に入りの作品やアーティストがありましたら教えて下さい。

山ノ家でも共演するminamoは、僕が音楽を始めてからずっと尊敬しているアーティストです。 僕の場合は、同世代に生きていて、これからの音楽や芸術のことをちゃんと考えている人たちはみんな好きです。

それでは最後にこちらをご覧になっているリスナーの皆さんに一言お願いします!

山ノ家で予定されているパフォーマンスでは、いつものような演奏ではなく、 作品として構築したものを発表したいと思っています。 みなさまに会えることを楽しみにしています!



INTERVIEW in August 2013
TEXT by Masato Hoshino