KYOKA
FEATURE 052

ベルリン/東京を拠点とする女性サウンド・アーティスト、Kyoka(キョウカ)。ベルリンの名門電子音楽レーベルRaster-Noton(ラスター・ノートン)から遂に発表された待望の1stフル・アルバム『IS (Is Superpowered)』は、楽曲毎に様々なアプローチで斬り込むインダストリアルでアブストラクトなビートと容赦なく迫る重厚なベースとキック、そしてそれらの上にカットアップされたヴォイス・サンプルが絶妙にレイヤードされ、細部までエクスペリメンタルでとことんカオティックなんだけどフロアにも完全機能するという、正に「踊れる実験音楽」を体現して魅せており、国内外でドでかい反響を起しています。そのリリース・パーティーとして日本全国をまわり、新潟でのライヴ・パフォーマンスをはじめ、各地で大きな衝撃と感動をもたらしてくれたのでした。そんな彼女に改めてツアーを振り返って頂きつつ、アルバムの事から先日リリースされたDiamond Versionの事までアレコレとお聞きしましたよ!




HOMETOWN
Berlin, DE

MEMBER
Kyoka (GROOPIES, PENQUO)

LABEL
RASTER-NOTON (DE)
ONPA))))) (DE)
P*DIS (JP)

WEB
KYOKA
KYOKA soundcloud

VIDEO

Re-pulsion


Live at FREEDOMMUNE 0 <ZERO>, 2013


Moscow New Culture Festival, 2010





experimental room #15

2014 05 25 SUNDAY

Solero

Open 18:00 / Start 18:30

Adv 2500JPY / Door 3000JPY / From Out Of Niigata 2000JPY / Under18 FREE!

live:
KYOKA
MERGRIM x KAZUYA MATSUMOTO
34423
PAL

dj:
JACOB

more info: experimental rooms
先日の新潟でのライヴ、すっっごかったです!個人的には2013年の渋谷WWWでのabkn setで拝見した以来だったのですが、改めてその圧巻のライヴ・パフォーマンスにブッ飛ばされてしまいました。新潟でのライヴは今回が初めてとの事でしたが、いかがでしたでしょうか?

初めての新潟の印象は、「街や人やその振る舞いがおしゃれだなぁ」 でした。独特で、洗練された印象でした。ライヴ会場のSoleroさんもとっても素敵なお店でした。音を出した時に、共振する窓や壁の音もとっても、ノスタルジーで新鮮でした!言わずもがな、お客さんも、スタッフさんも、皆さん優しくて明るくて。皆さんと時間を過ごさせていただいて本当に楽しかったです!!

今回は新作アルバム『IS (Is Superpowered)』のリリース・パーティーということで全国のあちこちをまわられましたが、振り返ってみて日本でのツアーはいかがでしたか?

どこの地域で会う方も皆本当に親切でオサレで礼儀正しい方が多くて、すごーく、嬉しかったです。自分、皆さんを見習って、「これからも精進しながら正しく暮らしていこう!」と、改めて思ったジャパン・ツアーでした。

その新作アルバムについてですが、また改めてじっくり聴かせて頂いています。正に「踊れる実験音楽」という形容が相応しい、細部にまでエクスペリメンタルなエレメントがリズムが散りばめられつつも巧みな音の配置によって、ダンス・ミュージックとしても機能する非常に素晴らしい作品だと思います。今作は一体どのようにして制作されたのでしょうか?制作にあたり何かコンセプトはありましたでしょうか?

「音楽の質や、音楽の理性に縛られること以外の、音楽の存在や凄み」というものを忘れないように作ろうとしました。なので、きっとそれがコンセプトです。自分は、きっとこれからも、そこは頭にいれて音楽と向き合って行くんだろうな、と思います。たぶん。

今作ではレーベル・メイトでもあり、前作EP『iSH』でも携わっていたフランク・ブレットシュナイダーに加えて、今回はTo Rococo Rotのメンバーでもあるロバート・リポックもプロデューサーとして参加されましたが、彼らとの作業はいかがでしたか?

とっても勉強になりました。彼らとの作業以前、基本的に私は自己完結で音楽を作ってきて、しかも、そこが重要なポイントだったんです。(不器用でも遅くても、自分で全部責やらなきゃ意味が無い!ということです。)前回の『iSH』や、今回の『IS』で初めてプロデューサーという存在を得てみて、それは”人の哲学と出会う作業”なんだな、と、思いました。人と作業すると「自分が消えてしまうんじゃないかな」と、以前は気にしていましたが、人と居ても自分は消えない上、人の良さも自分の良さも混ぜ合わせて、相乗効果で新しい哲学ができることがわかった、とても貴重な体験でした。

今作の制作時に何かエピソードがありましたら教えて下さい。

私が作った曲をロバートさんが聞いて「ベースだけ全部入れ替えなよ」と、宿題を出されて、ベースだけ入れ替えたら、それだけとは思えない程、曲が良くなった事。『iSH』の時に比べて、フランクさんに「何でこんな変な作り方するの?」と聞かれる数が減った事(たぶん、お互い慣れたんだと思います)。

今回のアートワーク、とてもカッコいいですね!まるでサウンドを具像化したかのようなインパクトのあるクール・ビューティーな顔写真ですね。こちらはどのようにして撮影されたのでしょうか?

これは、お友達でとっても最高なカメラマンであるシルビア・シュタインハウザー(Sylvia Steinhaeuser)と、ヘアメイク兼シルビアの際は撮影アシスタントをしてくださっているbrunoのミユキさんと3人で、御喋りしながら、撮影しました。 シルビアは光や色の捉え方がすごく美しいので、ミユキさんのスタジオで、窓から部屋に差し込む太陽の光に合わせながら撮りました。主役が太陽、と言ってもいいくらい、太陽ばっかりを追いかけた撮影でした。

今作のリリースは、Raster-Notonの紅一点としても話題を集めていますが、ご自身はレーベルについてはいかがですか?

とってもこのレーベルが好きです。私の成長を楽しんでくれている感じが、彼らから日々伝わってきて、私も喜びながら日々探索して、育っていけている気がします。自分は恵まれた環境で、のびのび音楽活動をできていると思います。

そのRaster-Notonの主宰のAlva NotoとByetoneのお二人によるDiamond Versionの待望の1stアルバム『CI』が、間もなく発表されますね。こちらの作品にKyokaさんはヴォーカルとしてゲスト参加されました。新たな側面を感じさせるラップ調のヴォーカルとDiamond Versionの無機質なサウンドとが絶妙にマッチングされていて、とても興味深い楽曲に仕上がっています。どのようにしてこの曲は制作されたのでしょうか?また参加されてみていかたでしたでしょうか?

このトラックの声は、まず、2013年のabkn setのツアー中にオファーがきたので、AOKI takamasaさんのレコーダーを急遽借りて、ツアーの合間に録音しました。それは、今までの自分のトラック用の声と同様、アブストラクトに何も意味が無いスキャットを録りました。その後、日本語をつかってほしいと言われ、 実は、めちゃくちゃ抵抗があり、困っていたんですが、ある日、シルビアに昔すすめられた本を読み返していたら、何か出来そうな気がしてきて、勢いで世界をまとめて録音しました。それを、送った後、再度ベルリンのByetoneのスタジオでありとあらゆる歌い方を全部レコーディングし、で、ええと、実は、その後はノータッチです。でも、2人のセンスを信じきっているので、逆にノータッチでどうなるのかを見てみたかったから、敢えて何も言いませんでした。そして今に至りますが、ええと、実は、インスト以外に関しては極度のアガリ症なので、まだ聞けていません。いつか、腹をくくって気が動転せずに聞ける日をまだ待っています。でもま、2人のセンスを信じているからこそできるコラボですよね。そうでなければ、ものすごく、干渉すると思います、私。 何はともあれ、参加して凄く良かった。

最近気に入っているアーティストや作品等がありましたら教えて下さい。

毎日変わるので、難しいところですが、少し前に真剣にスタジオで選んだミックスのリンクを貼らせてください(http://secretthirteen.org/secret-thirteen-mix-112-kyoka/)。音作りが良すぎると感じた音源だけをつなげたものです。とはいえ、ジャパン・ツアーでご一緒させていただいた多くのアーティストさんたちも、皆さん様々で、凄く良くて、毎回感動しながら過ごしていたので、答えるのが難しい質問ですね。まとめられなくてごめんなさい!

ジャパン・ツアー後はベルリンに戻られるとお聞きしましたが、今後の予定がありましたら教えて下さい。

ベルリンに戻ってからは、まずギリシャ(アテネ)のフェスに出させていただきました。その後は、パリの野外イベントでライヴしたり、ドイツのバイロイトやハンブルグに行く予定です。

それでは最後に新潟のファンに一言お願いします!

新潟!お客さんで来てくれた方も、スタッフの方も、皆さん楽しくて真面目でハイセンスで、私はとてもニヤニヤさせていただきました。また皆さんにお会い出来てニヤニヤ出来る日を、本気で楽しみに致しております。ではでは、また!



INTERVIEW in July 2014
TEXT by Masato Hoshino